2年ほど前。まだサンフランシスコ市内の比較的スラムっぽい地区 (なのに我々ソフトウェアエンジニア共が大量に流入したせいで家賃だけは馬鹿高くなって、色々バランスがおかしくなってる地区) の高層マンションに住んでた時の話。

引っ越して来てしばらくは、よく以前の住人宛てと思われる郵便が届いた。名前は一人ではなかったので、相当人の入れ替わりが激しかったようだ。
そういう時は、そんな人いません、とマジックで大書してポストに投函しなおすようにしてたけど、宛名を確かめずに開けてしまってから気づくことも多かった。数十ドルの電話代の踏み倒しとか、中途半端な金額の延滞請求が多かった気がする。そんな金額が払えずに夜逃げしたとも考えにくい。送り主の側も、転居先を調査する気もなく、ただ機械的に請求書を送り続けてるだけなんだろう。

そんな中、ちょっと記憶に残る誤配郵便物があった。死亡証明書である。知らない人の。

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親愛なるサーまたはマダム。大切な方の最終死亡証明書を同封いたしました。お納めください。云々。

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死因: 複数の銃弾による負傷
その他の状態: 大麻使用の形跡あり

名前で検索したら、ニュース記事と本人のフェイスブックが見つかった。彼のフェイスブックは、「次は俺の番だ」みたいなラップのポエムエントリで終わっていた。

ニュース記事によれば、その投稿の翌朝、ベイブリッジの近くで撃たれて死んでるのが発見されたそうである。ギャングの内部抗争だとか。

うちの部屋で銃撃戦があったわけではないようなので、その点、比較的グッドニュースといえる。家族の誰かが同じ部屋に住んでたんだろうか。当時は、あーアメリカらしい出来事だなぁ (死にざまにしても、郵便物の扱いの適当さにしても、パソコン画面のハードコピーが証明書っていう投げやり加減も) と思ってたけど、結局、こんな文書を目にしたのはいまのところこの時一度きりです。