丁度こんな↓ポストが話題になってたので、最近思ってたことを少し:

人材流出リスク対策の為、弊社では社外勉強会への参加を自粛する様、お達しがでました。(涙)
Twitter / understeer

まずその一。

会社を横断して交流するのが盛んな業界は、健全性を保ちやすい。

横のつながりが無い場合、「慣習」とか「常識」が同じ会社、同じ部署内のごく少数の間でクローズドになってしまい、いつの間にか変な独自進化を遂げてしまうことがある。(?Bの関連エントリにこんなのも見つけたw)

A社では上司が「この書類のここんとこ、ちょっと書き換えとけ ! こんなのどこでもやってるから !」と部下を叱咤し、一方のB社ではそんなことやったらクビがとぶのが当たり前、みたいな、いびつなローカルルールの横行も、会社間の垣根が高いところで起こりやすい気がする。同業種の交流が少ないと、A社の人達がその異常さに気付く機会も少なく、結果、evil な慣習が淘汰されにくい。クローズドな環境は不健全さを産みやすいのだ。

その点、Web業界は横のつながりが盛んで、大きなカンファレンスやセミナーなら何ヶ月かに一回は、ちょっとした勉強会や飲み会なら毎週のように身近で開催されている。で、別に交流があるからといって人材が流出してしまうってわけでもないんだよなぁ。

僕らだって別に、他社の人達と会うたびに毎回「やっぱりうちの方が良いよねー」「この会社で良かったねー」って再確認して帰ってくるわけじゃないのだ。でも、「あそこ、面白そうだな」と思った時に最初に考えるのは、履歴書を送ることではなくて「あそことなにか一緒に仕事できないか」とか「うちもああいう環境にするにはどうすればいいか」ってことだ。

無理に秘密を保とうとするより、手の内を晒して大勢のチェックに耐えうる環境を作った方が良い結果を生む、という点では、オープンソースのソフトウェアの方がセキュリティが高い、みたいな話ともちょっと似ている。

それと、様々な交流を通じて「いざとなったら他社でも同じような仕事はできる」ことが分かっているからこそ、逆に、思い詰めてあわてて転職する必要性も薄くて、それで心に余裕が持てるという側面もあると思う。

もちろん中には、前から交流のあった同業他社の人に誘われてそっちへ移っちゃう人もいる。でもそういうケースって、たいていは現在の会社を辞めたい理由が先にあって、誘われなくても遅かれ早かれ辞めることになるものなのだ。むしろ、不満が募って決定的な喧嘩別れになったり、本人が潰れてしまったりする前に同業他社に拾ってもらえればこそ、同じ業界で仕事が続けられるし、良い関係を継続することも出来る。そして、一部の人はそのうちまた戻ってきたりもするのだ。

そういえば、うちでは最近、ほぼ毎月のように「出戻り」の新入社員がいる。業界によっては出戻りどころか同業他社への転職さえタブーになる場合があるというから、聞く人によってはこれはすごく驚くところかも。

ちなみに僕自身の話をすると、例のライブドア事件の直後に (というかそもそも入社したのが事件の真っ最中だったんだけど)、以前から面識のあった他社の人や独立していく当時の上司から、来ないかという誘いをいくつかもらった。「お前んとこ、つぶれそうだからうちに来なよ」ってのはよく考えるとちょっと失礼なんじゃないかとも思うんだけどw、そういう誘いは技術者にとっては最大の賛辞になる。で、そうやって誘ってくれた人達がいたからこそ、逆に辞めずに続けてこれたというのも実は大きい。(僕はこの会社に対して忠誠心があるわけではない。「こんな仕事するぐらいなら辞めます」って本気で発言したことだって何度かあるしw。なのにそれらの誘いを断った理由は、別に彼らに魅力がなかったからでもないし、賃金が安かったからでもないのだ。)

もうひとつ感じているのは :

会社を超えた横のつながりが強い業界は、成長中の業界だ

ということ。

リソースやナレッジの流出、特に同業他社への流出が致命的になるのは、「A社が成長するためにはB社のパイを奪うしかない」、つまりゼロサムゲームをやっている場合だ。成長中の業界なら、「A社とB社が力を合わせてパイ全体を大きくする」という選択肢もあるはずで、その場合は、クローズドであることよりオープンであることの方がパイの分け前が大きくなる可能性もある。

ちょうど今週、ディレクター陣が「マネタイズハックス」というイベントを開催する。同業他社に大事なマネタイズノウハウを公開するなんて非常識に見えるだろうか ? だとしたら、それはあなたの思考が「ゼロサムゲーム」前提になっているからかも。

そして、人材についても同じ事が言える気がするんだよな。現在の環境に多少の不満を抱えている人材を無理に囲い込むよりも、会社間の垣根を超えて業界全体で「適材適所」な配置をすることで、業界全体の体力が強くなるという考え方はないだろうか ?

もしその結果、ある会社から優秀な人材がひとり残らず居なくなってしまうのであれば、その会社には人材囲い込みより先にやらなければいけない施策が沢山あるということだ。