オックスフォード辞書が選ぶ「今年のワード2015」が絵文字だった。
絵文字先進国の日本にいたらたぶんピンとこないんじゃないかと思うんだけど、こちらでは、1年前と比べてemojiという言葉を聞く機会が驚くほど増えた。

身近なところでは、
  • 絵文字にポリティカルコレクトネスが持ち込まれて肌の色が選べれるようになった

  • タコスの絵文字が使えるようになった

  • フェースブックが絵文字で反応を返せるようにすると発表

などが比較的大きな話題だったかな。特に最初の二つはアメリカならでは。

ツイッターにもハッシュタグに絵文字(?)を付加できる謎おまけ機能がある。これを担当してたチームがこの間のレイオフの影響をまともにくらってしまったせいで運用のお鉢が自分のチームにまわってきたのだけど、これがなんか需要あるらしくて、営業の人から朝から晩まで細かくメールが飛んできて、もうエモジエモジうっさいわ!って言いたくなるほど。
エモジって語がゲシュタルト崩壊おこしそう。そもそも去年くらいまでみんなイモジって発音してたはずなのに最近みんなエモジって発音する。どこから広まってるんだろ。



グーグルトレンズでもこんな感じで、去年から今年にかけて急上昇中。

15 PM

何がトリガーになったのかはよくわからない。iPhoneで絵文字が使えるようになったのも一因な気はするけど絵文字キーボードはもっと前から使えたはずだしなぁ。

ただ、絵文字が一般的になるというのは、つまり、いままで日本人が経験してきた

  • ひとつの文字が何通りにも発音できるし解釈できるという曖昧さ、または便利さ

  • ユニコードを正しく扱えないライブラリやテキストエディタにぶち当たるたびに文字化けが発生する苦痛

  • 端末によって表示のされかたが違うものを、フロントエンド/クライアントサイドのコードでがんばって吸収しなければならない理不尽さ

  • 外国で作られたグローバルスタンダードが、自分達のローカルな事情を考慮してくれていないという疎外感


...などをこれからアメリカの皆さんが追体験していかなければならないということでもあるので、生暖かく見守ってあげたいですね。

最後の自分たちのローカル事情にあってない件については、ニューヨークタイムズのサイトに面白い記事が載ってた。電車の絵文字は12種類もあるのにピックアップトラックすらないとか、マスクしてる絵文字は日本なら病欠の意味になるかもしれないけどアメリカだと銀行でも襲うのかと思ってしまうとか。



個人的には、うんこの絵文字がちゃんとこちらでもうんこと認識されていることが興味をひいた。
もちろんこちらでも最も使用頻度の高い絵文字の一つと思われる。でもこのマキグソって、漫画(ドクタースランプとか?もっと前から?)で生まれた記号的表現じゃないの?実際にこんなとぐろ巻いたうんこって見たことないんですけど?

(と思ってググってたら、gmailの絵文字の誕生についてウンコを最大限にフィーチャーした記事がでてきた。やっぱりドクタースランプか。そしてやはり「こういうのはプロダクトにふさわしくない」「いや必要だろ?」みたいなやりとりがあったようだ。この、本音ではウンコとかf***とかいった言葉が大好きなくせに、タテマエでは言葉使いにものすごく潔癖性を求めるキリスト教圏の独特な文化についてはとても奥深いものがありそう。)